天皇杯京都戦
担当:大重正人
この1試合に懸ける思いが、レイソルとサンガでは全然違っていた。レイソルに全く気持ちがなかったとかではなく、サンガの方が何倍も重かった。ゆかりのある選手やスタッフの様子や言葉を伺って、そう感じています。
曺貴裁監督はこの日立台のクラブハウスが寮だった時代に、日立製作所サッカー部の一員としてプレーされていて、日立台への思いを話されていました。ベンチで大きな声で選手を励ましていたのは杉山弘一コーチでした。李忠成選手、中川寛斗選手は今のレイソルを相手に自分の力を、存在を見せつけたいと強く思っていたはずです。試合後のチュンソンは大きな大きな達成感のある表情でしたし、ヒロトは「もう脱水症状ですよ」と、あの小さな体にため込んできた力をすべて使い尽くしていたんだなと。荒木大吾選手の仕掛けからの決勝点、自分がこの日立台で決めるんだという気迫が伝わってきました。そしてGKの清水選手はあの「13-1」のゴールマウスに立っていました。「2年前のことに関して、不甲斐ない気持ちや悔しい気持ちを抱えてきましたが、今日の勝利で少し払拭できて肩の荷が降りた気がします」
レイソルにだって、この試合に懸けてきて、そして結果を出した選手がいます。戸嶋祥郎選手は、6/23のレッズ戦で約10か月ぶりに大怪我から復帰し、6/27湘南戦では先発で前半45分出場、7/3マリノス戦を経て、4試合目の出場でした。そして今日、待望のレイソル初ゴールを決めました。試合前にSNSに上がっていた数年前のサチの京都戦のゴールを見ましたが、今日も前のスペースに飛び込んで行く果敢な姿、サチらしいゴールでした。
レイソルが2トップを中心に攻めていく中で、前線と最終ラインを攻守でつなぐ役割、3枚で果たすという難しいところを彼の運動量や献身性でカバーしていました。今のコンディションを聞かれ「まだ90分プレーできていないので、そこに対する評価というものはできない」と、やっぱり90分通しての生産性にこそ彼の最大の良さがあるのではないかと思います。この苦しい時だからこそ、チームを引き上げるプレーを期待しています。
同じく中盤でプレーした三原選手、大きな声を出して周りを鼓舞する場面も多くあり、チームを何とかまとめようとする姿勢がありました。チーム全体の戦い方を振り返り、「戦い方が単調だし攻撃に厚みがなかった。(前に)行ったら行ったっきりで、なかなか自分たちがコントロールできていなかった。例えばペドロに向けてロングボールを蹴るのもチャンスになるし、健吾が裏に抜けているときにボールを出せばチャンスになる。逆に太陽がボールを持った時にもっとみんなが足元で受ける準備をするとか、一人一人の個性をみんなが理解して、個性を尊重し合うようなプレーをしなくてはいけないし、それがチームだと思う。そういったところを高めていかないと個人個人としてではなく、チームとして上がっていかないと思う」と今のチームの課題、問題点を話しました。また今日はホイッスルで双方冷静さを欠くような場面もあるなか「ペドロに限らず味方の選手が小突かれたらチーム全員で相手に向かっていくくらいの気持ちがないといけないと思うし、もっともっとチームとしてまとまっていかないといけない」とも話しました。
みんな勝ちたいし、そのために全員の力が必要なこともわかっている。決してバラバラではないけど、勝利を勝ち取るためのサッカーのところで、個々の頑張りや考えが一つにまとまりきれていない。そうした状況がなかなか改善されていきません。次の日曜、鹿島戦まで時間は限られていますが、それでも改善への努力をチームは今夜から続けています。結果が欲しい。ただ、それだけです。