2010年7月26日

記録と記憶の一夜

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担当:河原 正明

 「まさにクラシコだった」。試合後に語ったネルシーニョ監督。ほぼ90分間1人少ない状況で闘った今日の試合を「体力・走力とも使った試合を乗り越えたことで、選手も自信が付いたろう」と評していましたが、やはり表情には悔しさが溢れていました。もう一歩まで追い詰めたのに、と。今日は私だけでなく、みなさんにとってもいろんな意味で忘れられないゲーム、一日となったことでしょう。

 ハーフタイム、監督はアップ中の選手、スタッフも全員ロッカールームに集まるように指示を出しました。監督が就任してから約1年、こういうシチュエーションは初めてでした。「この試合で一番大事な45分を本当に頑張ってくれた!ここにいる全員が聞いて欲しい。この後試合に出る選手も、途中から出場する選手もみんな役割は同じ。ベンチも、スタッフも全員で残り45分闘って絶対に勝つぞ!!」この試合は絶対に勝つ。不利な状況下だからこそ全員が力を合わせて勝つ。それを徹底する。監督の勝利への執念を感じて、思わず身震いがしました。

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 ロッカールームでさらに強く団結した選手たちは、結果を残してくれました。ハンターの目をした順也が一発の機会を逃さずゴールをゲット!記録上ではシュート1本だったもののチームは2得点の記録を。前半の同点弾を誘ったFKに、「幻の3点目のFK弾」と全得点に絡む活躍でチームを救ってくれました。残念ながら勝利こそ逃したものの、ライバルチームとの直接対決で差を詰められなかったこと。最低条件は達成したのではないでしょうか。この結果、Jリーグ記録となる18試合連続負けなしとなりました。スッキリと勝って記録更新をしたかったという思いはサポーターの方も一緒でしょう。

 それでもこの大事な試合が、記念すべき試合になった選手がいます。まずは桐畑選手。開始早々に菅野選手が退場という緊急事態の中、スクランブル発進がプロデビュー戦に。PKこそ決められましたが、突如として迎えた出場機会にあわてることなく、前半残り44分を凌ぎ切ります。後半も6本のシュートを浴びるも好セーブで得点を許しません。残念ながら89分にセットプレーからの後半7本目のシュートは防ぎきれず失点してしまいましたが、追加点を許さず勝ち点1をもたらしてくれました。
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 「90分間はあっという間に終わった。自分に来たボールは体を張って止めようと思っていた。デビュー戦でやっとプロになれた気がした。サポーターの皆さんの声援には本当に励まされました!」と感謝の気持ちを。ホッとする間もなく、次節も菅野選手が出場できません。キリの双肩にチームの命運がかかります。

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 そしてもう一人は水野選手。後半残り6分での交代出場でしたが、移籍後レイソルでの初戦、そして2年半ぶりのJリーグ公式戦を日立台で迎えました。「(ジェフサポーターからの)ブーイングはね、あって当たり前だし、ある方が燃えるから」と意に介していませんでしたが、それよりも「こういう大事な試合に起用してくれた監督の期待がうれしいし、出場してから同点に追いつかれてしまったことが残念」と悔しさをあらわにしていました。「徐々にコンディションを上げて、次はもっとできるところをサポーターに見せたい」次戦に期待です。

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 今日はスポンサーデー「AFLACデー」でした。まねきねこダックくんも一年ぶりに日立台に登場!また試合前にはゴールドリボン活動への協力として小児ガンと闘う子どもたちとの交流会も行われました。選手たちに直接サッカーを教えてもらい、最後はミニゲームと暑い中最後まで楽しんでくれたようでした!その他もイベントたくさんの1日でした。皆様楽しんでいただけましたか?

 最後に慎也、本当にお疲れ様でした。今日でユニフォームを脱ぐというプロサッカー人生で一番大事な時を日立台で迎えるとは14年前には想像もしていなかったことでしょう。先日のファン感謝デー後に「実は・・・」と打ち明けられた時のショックといったら無かったです。ケガに苦しむ慎也でしたが、いつもどこか人生を達観している風に感じていたので7月での決断には驚きました。「自分がユニフォームを着てプレーする姿が想像できないんだ」ポツリと話す中にも、この決意は揺るぎないんだろうなと感じました。
 ささやかながらビデオメッセージも用意できました(川崎F、横浜M広報の皆様ご協力ありがとうございました!)。送別の時間だけ雨が降っていたのも、忘れられない時間です。本音を言えば、次節に出る可能性もあったのに・・・とも思いましたがこれは失礼な話ですね。でも、入団会見で話した「熱いサポーター」をバックにGKマウスに立つ姿を見たかった。短い間でしたがレイソルでプレーをしてくれてありがとう。14年間のプロ生活お疲れ様でした。第二の人生も幸せでありますように。そしてこれからもレイソル家族としてよろしく!

 
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