2006年1月12日

更新日:1/12 23:45

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本日の担当:横井孝佳

レイソルとの関わりもなく、サッカーにも疎かった頃、私にとって柏レイソルといえば明神智和でした。ひょんなきっかけからレイソルで働くことになり、明神選手自身とも仕事をするようになって、外から抱いていたのとは異なる実像、ひょうきんで時には軽口をたたくこともある明るい性格を知りもしましたが、ミスターレイソルというイメージは変わりませんでした。
なぜならあの全力のプレーを目にしていたから。試合後には立てなくなるほど、ピッチ上で体力を、精魂を燃やし尽くしてレイソルの勝利のために戦う姿を見て、彼こそはレイソルを代表する選手だと心から思っていました。そんなレイソルの象徴とも言うべき明神智和という男がクラブを去ることの意味と重さ、喪失感に、リリースを流してから6時間が経つ今も打ちひしがれています。
一昨日の大野選手もそうです。柏の10番を5年にわたって背負っていたファンタジスタがレイソルを去る。言いようのない寂しさと悔しさにも似た感情に支配されています。
今回レイソルを去る選手たちは皆、悩みに悩み、悩み抜いた末に、移籍という道を選びました。後ろ足で砂をかけるように、そそくさと去っていく選手は一人もいなかった。そのことは皆さんにご理解いただきたいのです。悩みすぎてノイローゼ気味になった選手もいると聞きます。
そしてクラブは彼らを全力で慰留しました。「なぜ移籍を容認するのか」とお叱りの声もいただきましたが、決して容認などしていません。竹本GMが中心となり、残ってほしい、再びJ1に上がるためにともに戦ってほしいと誠意を持って伝えてきました。
しかしそれでも、移籍を選んだ選手はいます。限られた選手生命、自らが立ちたい舞台、取り巻く環境、クラブコンセプト、もちろんお金の問題もあるでしょう。さまざまなファクターを勘案し、彼ら選手はそれぞれの道を選択しました。彼らはプロフェッショナルなのです。悩み抜いた末に出した結論は、尊重してあげなければならない。感情ではうなずけなくとも、論理で考えるべき場面です。それでも苦しさはなくならないのですが。
そしてわれわれクラブの人間は、中心選手がクラブを去る、その事実を全身で受け止めなくてはなりません。この苦しさをクラブ改革のパワーに変えて、今よりもっと選手から、サポーターの皆さんから信頼を集めるクラブにしていかなくては。

レイソルに残る選手、レイソルに戻ってくる選手、他クラブからもレイソルで戦うために集ってくれた選手たちがいます。石崎監督のもとで、再びレイソルをJ1 に上げるために、一丸になろうとしている選手たち。私たちスタッフは、彼らと新しいレイソルの歴史を紡いでいきます。きっと彼らの中から、“ミスターレイソル”と羨望と尊敬の眼差しで称えられる選手が現れるでしょう。そうしていかなければなりません。
今はサポーターの皆さんに辛く苦しい思いをさせてしまっていますが、願わくばどうか私たちと一緒に、レイソルの歴史を紡いでください。たとえクラブが危機に陥っても、「レイソルのために戦う」「レイソルを全力でサポートする」と選手や皆さんから声が上がるような、そんなクラブになるための道を、ご一緒に歩いていただきたいのです。
1月29日にサポーターズカンファレンスを開催します。一人でも多くの方にお足を運んでいただき、私たちと話し合ってほしいと願っています。レイソルの未来を一緒に築き上げるために。どうかよろしくお願い申し上げます。