2008年2月21日

鹿児島キャンプ12日目

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担当:桜林 舞

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「クリエイティブってどうやったら育てられるんじゃろ」


キャンプ中の昼食はピアノと同様バイキング形式で、最上階の見晴らしの良い部屋で、選手もスタッフも同じ場所で食事をするようになっています。スタッフは午前練習が終わったあと用具の片づけなどがあるので、そしてホテルまでランニングで帰ってくるスタッフが多いこともあり(※監督は午前午後の行きと帰り、一日2往復されます)、だいたい選手が食事をとったあとにコーヒータイムになります。そこで監督以下コーチ陣が、時にはたわいもない話をしたり、時には真面目にトレーニングメニューの話をしたり、時には真剣に練習試合の反省をしたりと、ランチミーティングが行われます。そこで冒頭の言葉を呟いた石崎監督。攻撃のアイデアをどうやって育成していくかという話です。


「天性のもの、といってしまえばそれまでだけど。でも、『周りをよく見ている』よね。フランサにしても」


と、応えたのは高橋コーチだったか、古邊フィジコだったか。その後の話は具体的なところまではよく聞こえませんでしたが、攻撃のパターンを増やすため、攻撃のアイデアを想像力豊かにイメージし実行できるようにするため、さまざまなトレーニングアイデアが話し合われていました。コーチ陣が頭を悩ますクリエイティヴィティ。ランチミーティングで出たアイデアは午後のトレーニングにさっそく取り入れられていました。

ミニコートで行われた8対8。ただの8対8ではなく、両端から少し中央寄りに2つのパイロンが自陣と敵陣それぞれに置かれており、そのパイロンの間をパスで通すことができれば1点、1点入った後にさらにバックパスでパイロンの間を通すことができれば2点目、さらに戻したパスがパイロンの間を通れば3点…という初めて見る練習でした。一昨日から重点的に行われている「ゴール前へ斜めのクサビを入れる」という攻撃の練習を実践形式の中で作り出すという工夫です。


「『第3の動き』を意識してやろう!」


と石崎監督は口を酸っぱくします。ボールをパスする1つ目の動き、さらにパスする2つ目の動き。それだけでは、「相手に読まれてしまう」。そのため、読まれないように、さらにその先の3つ目の動きを行っていこうという意味です。将棋でいう「先手を読む」ということですね。将棋であれば、50手先や100手先を読むことがプロ棋士として最低でも必要なことなのでしょうが、サッカーでも同じ。一刻一刻と変わる状況の変化に、即時に、瞬時に、先をみて一番適切な判断をすることが求められます。3手先を読んだあとは、4手先を。4手先を読んだ後は、5手先を。先回りして状況を読むこと、それがクリエイティブな動きにつながっていくのでしょう。

いや、むしろ「先の状況を読む」というのは正しい言い方ではないのかもしれません。先のことを察するというよりも、3手先、4手先の状況をあらかじめイメージして「先の状態を作り出す」という言い方の方がしっくりくるように思います。まさに「創造力」と言われるゆえんでしょう。

「想像力は育成することができるか」という問題はサッカーのことだけに限らず、教育の永遠の課題のような気がしますが、その中でもコーチ陣から発せられた『周りをよく見ている』という言葉はとても示唆に富むものだと思うのです。最善の結果を得るためにその場で求められていることを行う力、刻々と変化する状況を把握して正しい判断をすること、「第3の動き」、「先手を読む」ということ。そのためにまずは「周りをよく見ること」。どの立場であっても重要なことだなと、自分自身も意識していかければいけないなと、改めて考えさせられた鹿児島キャンプ12日目でした。

「ケガから復帰してきた選手も多くなり、ようやくキャンプらしい練習ができるようになった」とランチミーティングで述べていました。最初からフルでトレーニングに臨んでいる選手は疲労もピークに達していることでしょう。「最終日の日曜日はミニゲームだから、練習ではないみたいなもの。明日、明後日と実質トレーニングは後2日。みんなで盛り上げて、元気よくやっていこう」と午後練習終りの石崎監督の訓示です。キャンプも終盤。あとふたやま、今できる最善の準備をして、明るく乗り切って行きましょう!

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