担当:大重正人
ACLグループリーグの第2戦、ベトナムのビン・ズオンをホームで迎え撃ち、前半2点、後半3点。合計5ゴールを挙げて、5-1。勝利と勝ち点3を手に収めました。吉田監督が会見で、まず試合をこのように振り返りました。
【吉田監督】「まず、今日の試合ですけれども、昨日の会見でも申し上げた通り、韓国で取ってきた勝ち点1、このグループの最大の強敵というか、ライバルだと思われる全北に与えなかった勝ち点3というものが、今日のホームゲームで無駄にならないようにやっていこうじゃないかという話を選手にした中で、それがまず現実になって、とても良かった。
あとは対戦相手のビン・ズオンは前線にかなり強烈な選手がいましたし、カウンターのスピードというところは、なかなか日本のチームにはないような迫力を持っていましたから、そこに対してのファイトするというところ、ファイトの内容が難しいんですけれども、ただ体をぶつかり合うというよりは、駆け引きをした中で守備をしていくというところに関しても、ピンチを作られましたけど、あれだけ攻めればカウンターを食らうのも必然であって、そこの対応を細かく言えば課題はありますけど、勇気を持って選手が戦ってくれた90分だったと思います」
5つのゴールが生まれましたが、まず会見で質問があったのが3点目。後半立ち上がり、ボールを丁寧につなぎ、最後は茨田選手のスルーパスに飛び出した、右サイドバックのキムチャンス選手がきれいにゴールへ流し込みました。
【吉田監督】「キム チャンスは今年3年目なんですけど、なかなか、本来彼の持つアグレッシブさや、ファイトする姿勢がなかなかこの2年間、持ち味を発揮できずに、キャンプも韓国代表に行って合流できずにいた中で、左サイドから今日は攻撃することが、基本的にコンビネーションが多くなるんじゃないかという我々の予想だったんですけど、そのタイミングを見て攻撃に参加するというところの彼が今日持っていた役割と、あとはシンプルに背後を取っていく、茨田から良いパスが出ましたけど、あれはパスもものすごく良いタッチでしたし、ジャストの、彼が待っていた、山中の方から攻撃の中心というか、山中がほとんどオーバーラップに行っていた中で、じっと待っていた彼のここ数週間の努力が実ったゴールだったと思います」
もちろん周囲のプレーや、バラのラストパスも見事でしたが、チャンスのこれまでの取り組みや実直な姿勢を称える監督の言葉が印象的でした。その思いはチームメイトも同じだったことでしょう。みんながチャンスの元へ駆け寄るシーン、自分のことのように喜ぶレイソルイレブンの表情をご覧ください。今年、チャンスのますますの活躍を期待してください!
また「柏がクラブ全体で目指すサッカーとしては、あのゴールはそれに近いものか?」という質問に監督も「とても、はい。裏を取っていく、『どシンプル』にいくというところですごく意味のある、選手たちに自信になるゴールだったと思います」を胸を張る、これぞレイソルというゴールになりました。
またメディアからは、その前の1点目2点目の大きな展開について、逆に印象深かったという質問もありました。
【吉田監督】「エドゥアルドに関しては、あそこにボールを蹴る、というかあそこを狙ってさえいれば、あそこにピンポイントでパスが通せる選手ですから。先週もそういう狙いを持っていましたし、特に今日の場合はクリスティアーノが斜めにいた関係で、エドゥアルドには常にあそこを狙おうと。今日の試合に限らず彼の持っている能力からすると、あそこを狙ってプレーをするということは当然やらなければいけないことで。今日は相手のプレッシャーも、アフリカ人選手の10番と30番のプレッシャーということもあって、なかなかパスをつないでいくところは硬さが見られましたけど、ベンチからレアンドロがポルトガル語で言っていましたし。『クリスを狙え』と。その中で生まれたゴールで、パスの距離を変える、相手の目先を変えるというところで、とても良いゴールだったと私も思っています」
この先制点を奪ったのが工藤壮人選手。立ち上がりから40分、押し込みながらなかなかゴールが奪えませんでしたが、今日はセンターフォワードで先発し、エースらしい2ゴールの大役を果たしました。今季から新設されたマンオブザマッチにも選ばれ、会見に臨みました。
【工藤選手】「そんなに焦りはなかったですし、最後のフィニッシュのところ、特に今日の3トップは僕を含めてゴールを獲りたいという気持ちが前面に出ていたと思います。最後の局面でリラックスすることを僕自身は意識していましたし、実際ゴールの場面もチャンスボールでしたけど、リラックスして流し込めた。そういう準備を怠らなかったことでしっかり結果に結びついて良かったと思います。クリスティアーノも大津くんも、ゴールという形では表れませんでしたが、献身的にチームのために働いていたし、今日の3トップは僕自身すごく手応えを感じています。
チョンブリ戦と全北戦でゴールを獲れれば良かったんですが、チョンブリ戦はたくさんのチャンスがあった中で決めきれなかった。全北戦はチームとして難しい試合になった。僕の中ではそんなに焦りというのはなかったですし、ゴールを獲りに行くという姿勢、またそれまでの予備動作、チームのために90分動き出しを続けるとか、そういうことをきちんと続けていれば絶対チャンスが来ると信じて動き出していたので、今日のようにボールが転がってくるとか、2点目もニアで大津くんが潰れてくれて、ファーサイドでしっかり決めきるとか。今年のチームは誰がどのポジションで出ても、ゴールチャンスが来るといういい流れのチームになってきているので、次の試合も引き続き来ると思うし、僕自身が冷静にいい準備ができているかどうか。ゴールを獲り続けていくというメンタルのところも意識してやっていきたいと思います。
さらに監督への質問が続きました。レイソルとしてACLで勝利できている要因、秘訣はありますかというような質問もありました。
【吉田監督】「いや、どのクラブもACLには真剣に取り組んでますし、特にはないんですが、前任のネルシーニョもそういったものは植え付けてくれましたし、アカデミーからそうですけど、このクラブが全ての試合とか、トレーニングとか、1回1回の何かを大事にするということは、持っているクラブですので、どの大会でもどんな小さな試合でも大事にしていこうという姿勢が、たまたま結果につながっているというところじゃないかなと思います」
これで得失点差で全北を上回り、グループ首位に立ちました。現状の手応えについて。
【吉田監督】「そうですね。予定通りということではないですけど、手応えというところでは、対戦相手が毎週毎週変わっていく。タイプも、場所も変わっていく中で、選手が勝つために何をするかというところなんですけど、そこに順応して、こうしようああしようと言ったことを、1つになってやり遂げようとするところに、チームの成長を感じますし。ただ、積み上げる時間、積み上がっている時間は、やはり多くはない分、何かを強調すると、何かが少し失われていくことは、まだ当分続いていくサイクルだと思いますから、そこをしっかりと試合前の準備の中で、できるだけそれが小さくなるように、振れ幅の波が、だんだん上の方で振れてくるような努力をこれからも続けていきたいと思っています」
ここまでACLプレーオフ、グループリーグと3試合を戦い2勝1分。この成果を今度はJリーグで披露する順番です。3月7日(土)Jリーグの開幕戦は、アウェイ神戸戦です。さきほど監督の言葉にもあったネルシーニョ監督と、いきなりの激突となります。大きな注目を集める一戦になりますが、まずは休息、そして準備。引き続きのご声援をどうぞよろしくお願いします。今日も日立台に響き渡った応援歌、とても勇ましく心強く、大変ありがとうございました!!