アウェイ川崎で快勝
担当:大重正人
4-1。中2日の敵地でのゲーム、現在リーグ3位の川崎フロンターレ相手に、逆転勝ち。試合後の監督会見が終わると、吉田監督へ向けて、メディアの方から自然と大きな拍手が起こりました。
吉田監督の第一声です。
「まず勝てたということに喜びを感じていますし、同時にほっとしています。今日のゲームを振り返るにあたって、川崎フロンターレの試合を何試合か見て分析していく中で、これはかなり強いぞと。一度ボールを持たせたら帰ってこない、ロングボールを蹴ってセカンドボールもこれまでの試合は全て彼らの手の中に収めてきている。ここをどう打開しようかと。我々も少なくともサッカーとしては、ボールは地面を走らせようというような中で多くの時間を過ごしていますから、違いはたくさんありますけど、大枠で分ければとても似たようなチームで分類されると思います。
このフロンターレを相手に何をしようかということを選手たちと話していく中で、相手のボランチのところに焦点を絞り、たくさんの練習期間がない中、ちょっとしたミーティングと、うちの選手の意思の統一というところで、ボランチだけ抑えたわけではないですけど、そういうフロンターレの良さをどう消して我々がどうプレーしていくかということを、選手たちが90分間、とてもタフに、とても集中して、意欲的に戦ってくれた、その結果がこういった形になったと思います」
フロンターレのダブルボランチ、中村選手と大島選手に対しての対策、そしてレイソルの中盤がどう対応したか。その中盤の争いに質問が寄せられました。
「前半は押し込まれるシーンも、押し込むシーンもありました。ボランチの大島選手と中村選手のところに関して言えば、もちろんボランチですから一瞬フリーになることはありますし、深くまで追いかけられません。後ろのバランスを崩せば彼らのところはフリーになりますし、その一瞬一瞬のところはフリーになる時間もありました。それでも前半からうまく監視、管理はできていたと思います。こうしようと言った中で、もちろん外されることもありますし、彼ら2人はとても良い選手なので、神経をすり減らしながらですけど、うまく対応したと思います」
川崎のボランチに対峙する、レイソルの中盤にはどんなアイディアを選手に与え、また選手自身はどうプレーしていたのか。
「選手たちに僕の方からもちろん提案はします。こういうふうに守ろう、こういうふうに対応してみようかと。選手の意見もそうですし、彼らはサッカー選手なので顔色もありますし、そんなものを総合的に判断しながら、最終的に今朝、こういうふうにやろうと決定しました。今日は大谷と小林祐介、30歳と20歳の選手で組みましたが、彼らの頭の中にもスッと落ちるものがあったという確信を得たので、そのまま実行しました。大谷はよく小林をリードして、栗澤につないでくれたと思っています」
名前の挙がったレイソルの中盤。今季2度目の先発、小林祐介選手の談話です。
「監督からも両ボランチはキーになると言われていたので、そこを上手く消せたと思う。今シーズンそんなに試合に出てなかったけど、監督に使ってもらったので、やってやろうという気持ちで臨んで、勝てたことは良かった」
そして大谷選手です。
「僕と祐介が強めに行って、相手のボランチに仕事をさせず、外に外に展開させていくようにした。(相手のボランチは)キーになる選手達なので、フリーでやらせず後ろなり横なりにボールを下げさせることをイメージしてやった。自分達の狙い通りにできていたと思うセットプレーの失点は反省しないといけないが、チームとしてやろうとしていることを力のある川崎相手に多く出せたことは自信につながると思う」
監督のコメントに戻ります。全体の試合展開についてです。
「セットプレーから先制されましたし、前半に関して言えばどちらのゲームになってもおかしくないような展開の中で先制されたという。前節もセットプレーから追い付かれていますから、我々にも選手たちにもよぎったのは良くないものでしたが、前半のうちに追い付いた。勝敗を分けたポイントというのは、対策と、あとは前半のうちに1点を返したというところになったと思っています」
勝敗を分けたと振り返る、前半ラストの同点ゴール。武富選手の働きは今日もゲームを大きく動かすもので、すぐに彼についての質問が起こりました。監督からは「個人に関してはあまり深く話せないという前置きがありますが」という前提の上でのコメントです。
「武富は12歳の頃から知っています。溢れる才能、特別足が速いとかはないですけど、体を当てる、足を出す、足を出させる、そんな対人のセンスがとても優れているし、優れていた選手です。なかなか殻を破れずにいた中で、去年一昨年と湘南にレンタル、その前が熊本、特に熊本で得点を重ねたこと、去年一昨年と湘南でタフに鍛えられた。その中で自分の才能を信じられるようになり、柏に戻ってきました。彼の『スペースを見つける』という、ちょっとした特殊な能力というのが、ここにきてどんどん伸びていると思います。1試合1試合自信を重ねていると見ています」
前半終了間際のシーン。相手クリアを拾って、GK菅野選手からのビルドアップが起点でした。CBからアンカーの茨田選手につなぎ、縦パスを入れ、また受け直して、機を窺います。そしてパスを受けた大谷選手からくさびのパス。武富選手がすばらしいターンで相手を置き去りにしてバイタルへドリブル。この時、FWのレアンドロ選手と工藤選手はクロスしながら動き出し、裏のスペースを狙い、相手DFはこれにひきつけられました。その隙を見逃さず、武富選手の正確なシュートがゴールイン。多くの選手が走り、絡んだ、すばらしいゴールだったと思います。
また後半には3点を挙げて勝ち越し。すべて右サイドからチャンスメイクし、工藤選手がDFとの駆け引きで上回り、2点頭で押し込みました。工藤選手についても、監督へ質問がありました。
「工藤は前節スタメンではなく、1試合休んだというかスキップした形になっています。工藤は前半、シュートを外したというよりは、収めなければいけないポイントで2回ボールを失っていて、それの方が今日の彼にとっては大きく残るものだったと。どっちがどれぐらい我慢してボールを持つか、持たれたものに対して我慢できるかという勝負の中で、工藤らしくないボールロストがあったのは反省材料だと思います。ただ、彼の性格や強さを考えますと、それにめげず後半にゴールで返すというところは非常に工藤らしかったと思います。彼の活躍なしでは、(この会見で)こういうふうに喋れていませんから、とても良かったと思います」
もちろん試合を決めた2ゴールを称え、そして前半の反省点についてしっかり指摘がありました。ただ工藤選手もおそらく自覚し、振り返っていることでしょう。このゴールで、J1通算50得点目に到達しました。先日の日刊スポーツの記事にあったデータですが、5月6日に25歳の誕生日を迎える工藤選手、24歳以下でここに達したのは、史上7人しかいません。エメルソン、城彰二、高原直泰、柳沢敦、エジミウソン、田中達也、久保竜彦。誰もが知っているJに残るストライカーの歴史に名前を残す快挙を成し遂げました!
リーグ戦3試合ぶりの勝利、これを次戦へ。5月2日(土)清水エスパルスを日立台に迎えます。チケットも日に日に売れていて、AR席は完売しています。ただ他の席種はまだ余裕がありますので、GW唯一の日立台マッチ、今度はホームで勝利を勝ち取りましょう!今日もアウェイとは思えない黄色一色の応援、たいへんありがとうございました!
そして最後に、もうひとつ大きな吉報が!
アビスパ福岡へ期限付き移籍中の中村航輔選手が、今日のジュビロ磐田戦でJリーグデビュー&初先発しました。試合は1-0の完封勝利!強豪ジュビロ相手に見事デビュー戦勝利を飾りました。度重なるケガの苦難を乗り越え、ついに第一歩を踏み出しました。本当におめでとう、コウスケ!!