天皇杯3回戦へ
担当:大重正人
言うまでもなく、本当に苦しい苦しい試合でした。先制点を許し、追いつくも、2度のビハインド。最後は4連続ゴールで天皇杯3回戦に駒を進めましたが、この試合の後半途中まで、自分たちのサッカーをどれだけやれたかというところで見れば、間違いなく奈良クラブのゲームでした。
相手の中村監督はこの試合の狙いをこう話しました。「レイソルはキーパーからつないでくるので、まずはつながせないように。そこで蹴ってきたところで、レイソルのFWはそれほど身長が高くないので、センターバックで跳ね返す」。下平監督も「2トップとサイドハーフとボランチ、6枚のプレッシャーをはがせればチャンスだったが、そこで引っかかってしまった」。とにかく奈良は前向きのプレッシャーをかけ続け、ルーズボールはDFラインの背後や、サイドバックの裏へどんどん蹴りこんで、レイソルは後ろ向きでプレーする時間が非常に長くなりました。
蹴れば跳ね返され、セカンドを蹴りこまれる。立ち上がりから失ったリズムは、前半終了するまで取り戻せないままでした。そして後半開始からも相手のラッシュを受け、クロスを合わされて先制点を献上。すぐさま下平監督が動き、ドゥドゥ選手を送り込みます。右サイドから攻撃のリズムを作りさっそく勢いをつけると、ここで得たCKから大津選手がニアできれいに合わせて同点に追いつきます。しかし3分後、相手CKからすばらしいボレーシュートが決まり、2-1とふたたびのビハインドを許してしまいました。
それでも、今日のドゥドゥの切れ味は非常に鋭かった。後半18分、「クリさんからのボールを受けて、自分の持ち味である個人技とスピードを出せた」と、1対1の仕掛けから相手を抜き去り、強烈なシュートを蹴りこみます。
さらに後半24分のクリスティアーノ選手の3点目で逆転。そして「一番痛かった」と敵将が悔やむ、勝利を大きく引き寄せるゴールもドゥドゥが呼び込みました。後半29分、相手のバックパスをドゥドゥが一瞬のスピードでカットしゴールへ突進。こぼれ球を大津選手が押し込んでの4点目。後半37分には岡山一成選手がピッチへ。レイソル時代のDFではなくFWとして登場。あわやというヘディングシュートもありましたが、逆にアディショナルタイムにクリスの豪快なシュートが決まり、終わってみれば5-2。
「後ろで力を使いすぎて前にいけないところで、ドゥドゥが相手を1枚はがしてくれて助かった(大津選手)」「ドゥドゥが入って、仕掛けられるようになったので助かった(中谷選手)」とチームメイトもその働きを大きく称えました。そして2ゴール2アシストの大津選手もしっかり数字で結果を残しました。彼らしいスピードとパワーの一端が見え、そして90分フル出場を果たしました。「自分としては結果を出すことしか考えていなかったのでそういう意味では自分としても良かった。欲を言えばもっと行けたと思うし、ここで満足せずにもっともっと上に行かないといけない」。
クリスに加え、伊東選手、ディエゴオリヴェイラ選手の「IOC」3トップが盤石でチームをけん引してきましたが、ここに大津選手、ドゥドゥ選手が加わるとなれば、非常に頼もしく、チームの競争や活性化もさらに進むでしょう。次週の土曜日は再びリーグ戦、1stステージ王者、鹿島アントラーズをホーム日立台で迎え撃ちます。「今日はまったくコンパクトに戦えなかった。鹿島戦に向けてしっかりと修正しないといけない」。中谷選手の反省の弁をチーム全体のものとして、この1週間を戦っていきます。